環境保全と快適生活を実現する合併処理浄化槽
~ 補助金制度を活用して設置してみませんか ~
川や湖の汚れの原因
かつて、海や川、湖沼の汚れの原因は、工場などからの産業排水が主なものとされていましたが、法律による規制のおかげで産業排水の汚れは減り、そのかわりに生活排水からの汚れが目立ってきました。
家庭から出る生活排水のうちで、もっとも汚れのひどいのは、台所や洗濯機からの排水です。この台所や風呂、洗面、洗濯、掃除などトイレ以外から出る汚れ水を生活雑排水と呼んでいます。
し尿と生活雑排水の両方を処理する合併処理浄化槽は、公共下水道や農業集落排水施設同様の高い処理能力を持っており、きれいな水を流して美しく豊かな自然を守ることができます。さらに、トイレを水洗化して快適な生活を送ることができます。
出雲市では、公共下水道や農業集落排水事業等の実施区域を除く広い地域を対象に、合併処理浄化槽の普及拡大に取り組んでいます。
補助金制度には、浄化槽設置のための設置補助金と、設置後の維持管理のための維持管理補助金があります。
合併処理浄化槽の場合 |
単独処理浄化槽の場合 |
合併処理浄化槽について
合併処理浄化槽の設置に必要なスペースは、おおむね小型乗用車1台分の広さがあれば十分です。浄化槽本体の耐用年数は30年以上といわれています。そして、水をきれいにする主役は微生物です。合併処理浄化槽は、それぞれの微生物が働きやすい環境になるように工夫、設計されています。
7人槽の標準的な工事費は、約120万円です。これに配管工事や配線工事などの付帯工事、支障物等の撤去・移転等に必要な土木工事、浄化槽の上を駐車場として利用する場合の補強工事などが必要となります。
このように、費用の総額は個々の実情により異なりますので、くわしくは工事業者にご相談ください。
合併処理浄化槽を設置した後は、浄化槽の機能を維持させるための管理が重要となります。こうした管理にかかる費用は、保守点検や清掃・検査に年間約6~7万円かかります。
合併処理浄化槽の設置補助金制度
合併処理浄化槽の設置工事に対する補助金です。合併処理浄化槽は、原則として建物の延べ床面積に応じて大きさが決まります。設置補助金は、浄化槽の大きさごとに金額が決まっています。
(下表参照)
ただし、次の要件を満たしていなければ補助金の交付対象になりません。
-
公共下水道事業計画策定(認可)区域及び特定環境保全公共下水道事業計画策定(認可)区域外、農業集落排水事業・漁業集落排水事業・小規模集合排水処理事業及びコミュニティプラント事業区域外、出雲市浄化槽施設の設置及び管理に関する条例第3条第1項に規定する区域外であること。
-
10人槽以下の浄化槽であること。
-
専用住宅(居住の用に供する1戸建て)、併用住宅(居住部分の述べ床面積が2分の1以上の1戸建て)又は集会所であること。ただし、賃貸住宅は除きます。
-
補助金の交付申請、交付決定前に浄化槽の設置工事をしていないこと。
-
申請年度の3月25日までに工事を完了させることができるものであること。
合併処理浄化槽の大きさと補助金額
人槽区分 |
5人槽 |
7人槽 |
10人槽 |
---|---|---|---|
延床面積 |
150m2以下 |
150m2超 |
台所・浴槽が2か所以上 → 二世帯・大家族世帯用 |
補助金額 |
332千円 |
414千円 |
548千円 |
(ただし、浄化槽の大きさの決定は延べ床面積のみによらない場合もあります。)
設置補助金の申請から支払いまで
- 補助金交付申請書の提出
補助金交付申請書は、保健所への届出や建築確認申請等の諸手続きを行った後に、関係書類を添付のうえ、下水道管理課まで提出してください。
- 補助金交付決定
補助金交付決定通知は、書類審査により、交付要件を満たしていれば交付決定し、申請者に通知します。
- 工事着手、工事完了
工事の着手は、必ず補助金交付決定の通知後に着手してください。
- 実績報告書の提出
工事完了後は、すみやかに実績報告書を提出してください。あわせて、出雲市合併処理浄化槽適正管理推進協議会への入会申込書を提出してください。
- 竣工検査
市職員が、提出された実績報告書に基づき、工事業者と申請者の立会いで竣工検査を行います。
- 補助金の支払い
竣工検査で問題がなければ、検査後1か月以内に指定口座に補助金を振込みます。
合併処理浄化槽の維持管理補助金制度
維持管理補助金は、設置の翌年度から公共下水道、農業集落排水及び漁業集落排水の供用開始まで又は、市が管理するまでの間、年額15,000円/基を補助します。ただし、補助金の交付は、次の要件を満たしている場合で、補助金の交付申請がない場合は交付されません。
- 専用住宅(居住の用に供する1戸建てで、共同住宅及び長屋建て住宅を除く。)、併用住宅(居住部分の延べ床面積が2分の1以上の1戸建て)又は集会所に設置された10人槽以下の合併処理浄化槽。(賃貸は除く)
- 保守点検及び清掃業者と浄化槽にかかる保守点検清掃契約をかわし、浄化槽の状態が適正に保たれていること。
- 年度内に浄化槽の清掃(汚泥の引き抜きを伴う)がされていること。
- 浄化槽法第7条又は第11条の規定による法定検査を受検し、改善の指摘を受けた場合、すみやかに改善のための処置を行ったものであること。
この補助金は、出雲市合併処理浄化槽適正管理推進協議会を通じて交付しますので、同協議会への入会申込書の提出が必要です(入会金不要)。この手続きは、設置補助金に関する実績報告書の提出に併せて行います。
なお、すでに設置された浄化槽については、維持管理補助金を初めて申請される時に補助金交付申請書とあわせて提出してください。
合併処理浄化槽処理水の放流先の確保にご協力ください
●合併処理浄化槽の特徴
合併処理浄化槽は、個人住宅等の敷地に設置して、台所やお風呂からの生活雑排水を水洗便所の排水と併せて処理する汚水処理施設で、公共用水域の水質保全にも寄与しています。
(処理性能が優れている)微生物による浄化機能を活用し、下水処理場並み(BOD20mg/l以下、除去率90%以上)に汚水の処理が可能です。
(単独処理浄化槽の約8倍の処理能力) し尿のみならず生活雑排水も処理可能な合併処理浄化槽は、し尿のみを処理する単独処理浄化槽に比べ、約8倍の汚水処理能力があります。
(省スペースで設置、投資効果の早期発現)個人住宅に設置する浄化槽のスペースは乗用車1台分とコンパクトで、地中に埋めるため目立ちません。また、工事も概ね1週間程度で設置できるため、効果の早い発現が期待できます。
(災害への対応力がある) 個別処理であり、早期復旧が可能で、地震など災害への対応力があります。
(水環境の変化が小さい)整備前後において、各戸から排水されるという形態に変化がなく、排水の水質が向上する以外に変化はありません。河川の安定的な流量維持にも寄与しています。
出典:2021浄化槽整備事業の手引き、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課浄化槽推進室、環境再生、資源循環局浄化槽推進室
●合併処理浄化槽普及状況
出雲市では、公共下水道や農業集落排水事業等の実施区域を除く広い地域を対象に、合併処理浄化槽の普及拡大に取り組んでおり、普及率向上の重要な役割を担っています。
汚水処理の種別状況(令和4年3月31日)
種 別 |
供用人口 |
汚水処理 人口普及率 |
水洗化人口 |
水洗化率 (接続率) |
公共下水道 | 85,668人 | 49.2% | 74,765人 | 87.3% |
特定環境保全公共下水道 | 2,023人 | 1.2% | 1,924人 | 95.1% |
農業集落排水 | 27,898人 | 16.0% | 25,861人 | 92.7% |
漁業集落排水 | 2,824人 | 1.6% | 2,572人 | 91.1% |
小規模集合排水 | 75人 | 0.04% | 63人 | 84.0% |
浄化槽(個別排水・市設置) | 4,048人 | 2.3% | 4,035人 | 99.7% |
浄化槽(個人設置・コミプラ・その他) | 33,321人 | 19.1% | 33,321人 | 100.0% |
計 | 155,857人 | 89.5% | 142,541人 | 91.5% |
※「普及率」とは、全体の人口のうち、公共下水道や集落排水、合併処理浄化槽などの汚水処理施設をどのくらいの人が利用できるようになったかを示す割合。
●合併処理浄化槽処理水の放流先確保にご理解、ご協力ください。
出雲市では毎年250基前後の個人設置浄化槽が設置されています。
浄化槽を設置される付近の皆様には、放流先確保に、ご理解とご協力をお願いします。
~参考~
浄化槽設置に際しての手続き等における「放流同意」の扱いについて
いわゆる「放流同意問題」について 昭和63年10月27日付け厚生省通知